2026.11.01社員が動き出す組織のつくり方

社員が動き出す組織のつくり方 #05 「任せたのにできない」は、上司の伝え方が悪いのかもしれない

〜“任せる”と“丸投げ”の違い、説明できますか?〜

 

こんにちは。スマレボ代表の米澤です。

 

新シリーズ「社員が動き出す組織のつくり方」。

第5話のテーマは、「『任せたのにできない』は、上司の伝え方が悪いのかもしれない」です。

“任せる”と“丸投げ”の違い、説明できますか?

 

前回は、社員の本音をそのまま社長に伝えるのではなく、組織改善につながる言葉へ“翻訳”することの大切さをお伝えしました。

 

今回からは、さらに現場の中に踏み込んでいきます。

上司と部下の間で、とてもよく起きているすれ違い。

それが、「任せたつもり」と「丸投げされた感覚」のズレです。

 

「任せたのに、できない」と感じるとき

 

経営者やリーダーの方から、こんなお話をよく聞きます。

 

「任せたのに、全然できていなかった」

「自分で考えてほしかったのに、結局聞いてくる」

「自由にやっていいと言ったのに、的外れなものが出てきた」

「やっぱり自分でやった方が早い」

 

この気持ちは、とてもよく分かります。

忙しい現場では、上司も細かく説明する時間がありません。

自分の仕事も抱えながら、部下にも育ってほしい。だからこそ、「一度任せてみよう」と思って仕事を渡す。それなのに、期待していたものと違う結果が返ってくる。

そのとき、つい「なぜできないのか」と思ってしまいますよね。

 

でも、ここで一度立ち止まって考えてみたいのです。

それは本当に、部下だけの問題でしょうか。

 

「いい感じにやっといて」は、任せているようで丸投げ

 

たとえば、こんな依頼をしていないでしょうか。

「これ、いい感じにやっといて」

「あとは任せるから、よろしく」

 

一見、部下を信頼して任せているように聞こえますが、受け取る側からすると「何をどこまでやればいいのか」が分からず不安になります。

 

「任せる」とは、部下を放っておくことではありません。

目的とゴールを共有したうえで、部下が自分で考えられる余白を渡すこと。

そのためには、まず上司が以下のことを伝える必要があります。

 

  • この仕事は、何のためにやるのか
  • 最終的に、どんな状態になっていれば良いのか
  • どの部分は自由に考えてよくて、どこは外してはいけないのか
  • いつ途中確認するのか、困ったときはいつ相談すればいいのか
  • 最終的に誰がチェックして完成とするのか

 

ここが共有されないまま仕事を渡されると、部下は手探りで進めるしかありません。

その結果、最後に「いや、全然違う」と言われてしまうと、部下は次からこう思うようになります。

 

「どうせ最後に直されるなら、最初から指示してほしい」

「自分で考えても無駄だ」

 

こうして、指示待ちの社員が生まれていくのです。

 

部下の成長段階に合わせた「段階的な任せ方」

 

任せるためには、部下のことを知っている必要があります。

知識や経験、現在のスキルレベルは人それぞれ異なります。だからこそ、社員の能力やスキル、現段階の成長度合いを見極めて任せることが求められます。

 

能力・スキル・経験が十分にある人なら、一気に任せても問題ないかもしれません。しかし、まだ経験が浅く何もできない状態の人に、いきなり「やってみて」と言っても成立しません。相手の育ち方や成長段階をしっかり見ながら、任せる範囲を調整・コントロールしていくことが重要なのです。

 

特に、初めての仕事を任せる場合は、いきなり1人で最後まで作らせるのは避けた方がよいでしょう。

まずは「やって見せて教える」。

次に「一緒にやってみる」。それができるようになってから初めて、「1人でやらせて途中確認する」という段階的なプロセスを踏むことが大切です。

 

時間をかけて最後まで作ったものを、最後にひっくり返されるのは、部下にとってかなりつらい経験です。

一度それを経験すると、次からは自分で考えることが怖くなります。

 

「ざっくりでいいから、一度方向性を見せて」と途中確認を入れ、方向性が合っているかを早めにすり合わせる。

小さく任せて、小さく確認しながら、少しずつ任せる範囲を広げていく。

それが、人を育てる任せ方です。

 

「最後の責任は私が持つ」という安心感とチェック工程

 

任せるときに、もうひとつ大切なことがあります。

それは、上司が責任を持つということです。

 

ただし、これは「失敗しても大丈夫」と最初から甘やかすことではありません。

実務において、不備のあるまま外部に出れば会社に大きな損害を与えかねないため、当然ながらそのまま放置するわけにはいきません。

 

本当の意味で上司が責任を持てるのは、「途中で確認する」「最終的に上司がチェックして安全を確かめた上で世に出す」というプロセスとセットになっているときだけです。

 

「失敗したらお前のせい」という空気の中では、人は挑戦できません。

 

「途中で確認するから、まずは考えてみて」

「最後は私が必ず確認して安全を確かめるから、安心してやってみて」

そう言える上司のもとで、人は少しずつ挑戦できるようになります。

 

任せるとは、責任を放棄することではなく、セーフティネットを張った上で部下に考える機会を渡すことなのです。

 

「できない部下」ではなく「渡し方」を見直す

 

部下が思うように動かないとき、私たちはつい「できない部下」に目を向けてしまいます。

でも、見直すべきは私たちの「渡し方」の方にないでしょうか。

 

人は、何を求められているかが分かれば動きやすくなります。

安心して考えられる環境があれば、自分なりに工夫し始めます。

 

任せ方が変わると、やりがいと主体性が生まれる

 

「任せたのにできない」と感じたときは、部下を責める前に、こう問い直してみてください。

 

「私は、相手が動けるように伝えられていただろうか」

 

この問いを持てる上司が増えると、組織は変わり始めます。

ただ言われた通りに動く指示待ちの働き方では、本当のやりがいは生まれません。

「自分で考えてみよう」と任された部分で工夫し、それが成果につながったときに初めて、部下は「自分の仕事が役に立っている」という実感を抱きます。

その喜びが当事者意識を生み、主体的に働くやりがいへとつながっていくのです。

 

スマレボは、社員だけを変える研修ではありません。

トップの想い、リーダーの関わり方、現場の本音、仕事の任せ方、そして業務の仕組みをつなぎながら、社員が自分ごととして動き出す組織づくりを伴走しています。

 

リーダーが育たない。

部下に任せても、思うように進まない。

結局、自分が抱え込んでしまう。

そう感じている経営者・リーダーの方は、ぜひ一度スマレボにご相談ください。

 

 

 

 

次回は、「できない理由が出る会社、できる方法を考える会社」というテーマで、組織の空気を大きく左右する“考え方のクセ”についてお伝えします。