2026.03.31スマレボストーリー

スマレボストーリー【確立編】 #3 崇高な理念と、崩壊寸前の現場。10年越しの約束

こんにちは スマレボ代表の米澤です。

 

「確立編」第1話・2話では、販売サービス企業様での現場スタッフの意識変革についてお話ししました。

今回からは、いよいよスマレボメソッドの「集大成」とも言える、あるプロジェクトのお話を始めます。

 

それは、人材育成だけでなく、経営理念の浸透、評価制度の構築、そしてDX(業務効率化)に至るまで、組織の骨組みをゼロから作り直した、壮大な再生の物語です。

 

舞台は、ある教育機関です。

 

10年越しのオファーと、熱き経営者

 

この学校を経営する武田社長(仮名)とは、実は10年来の知人でした。 彼は元トップセールスマンでありながら、教育への情熱は人一倍。「日本の未来を担う若者をどう育てるか。そして、彼らを支える従業員をいかに大切にするか」と熱く語る彼とは、会うたびに何時間も教育論を語り合う仲でした。

 

家庭教師の派遣サービスからスタートし、時代の変化に合わせて教育機関へと事業を転換していった武田社長。

 

「いつか、会社の基盤ができたら、絶対に米澤さんに社員教育を頼む」

 

彼はことあるごとにそう言ってくれていました。しかし、会社の業績やコロナ禍の煽りを受け、そのタイミングはずっと先延ばしになっていました。

 

実はこの間、私は年に数回、彼とお会いしては数時間に渡り、ずっと会社での悩みや彼の熱い想いに耳を傾け続けていました。コンサルティングの契約を結ぶずっと前から、彼の頭の中にある理想や、抱えている課題を共有していたのです。

 

「米澤さんに頼んだら、絶対に会社が良くなる」

そんな風に絶対的な信頼を寄せていただき、後に会社の根幹に関わる部分まで任せていただけるようになったのも、この数年間にわたる対話の時間があったからこそだと思っています。

 

そして数年前。コロナ禍が明け、組織改革が必要になったタイミングで、ついにその「約束」が果たされることになりました。

 

素晴らしい理念の裏側にあった「カオス」

 

武田社長の会社には、素晴らしい理念があります。

 

『若者たちの可能性を信じ、その成長に組織一丸となって全力で貢献すること』

 

掲げられたこの理念は、武田社長の情熱そのものであり、一点の曇りもありませんでした。

私は依頼を受けた時、「理念もしっかりしているし、社長の想いも強い。これは、さらに良い組織にするための前向きなプロジェクトになるはずだ」と信じて疑いませんでした。

 

しかし、コンサルティング契約を結び、実際に組織の蓋を開けてみた時、私が目にしたのは、理念とは程遠い「カオス(混沌)」でした。

 

社長が外へ向かう間、内側で起きていたこと

 

当時、武田社長は新たな事業展開のため、外部との交渉や営業活動に奔走していました。

しかし、社長の目が外に向いている間、社内の教育や管理体制は完全に手薄になっていたのです。

 

ヒアリングを進めると、耳を疑うような事実が次々と明らかになりました。

 

創業以来、社長を支えてきたはずの幹部(役員)が社内で深刻な問題行動を起こし、事実上の謹慎状態になっていたこと。

さらに、その事件や日頃の杜撰な管理体制に不信感を募らせた中堅社員たちが一斉に退職。一度に6名ものスタッフが辞めていく異常事態が起きていたのです。

 

残された社員たちも疲弊しきっていました。

これまでは、強烈なトップダウンと、問題が起きてもなんとか力技で抑え込むような、いわゆる「鍋蓋マネジメント」で組織を維持してきました。

しかし、組織が大きくなり、社員数が増えていく中で、社長の個人的な馬力だけではどうにもならない限界に達していたのです。

 

「属人化」からの脱却と、改革のスタート

 

「社長、これは研修だけでは治りません」

 

私は武田社長に、覚悟を持って伝えました。現場の疲弊を立て直すための「人材育成」はもちろんですが、それを支える「組織の仕組み」自体を作り直す必要があると進言したのです。

 

すると武田社長も、深く頷いてこう言いました。

「実は私も、自分がこれまで属人的に引っ張ってきたこの会社が、将来自分がいなくなった時にどうなるのかと危惧していたんです。事業承継を見据えた組織づくりも、ぜひ一緒にお願いします」

 

将来、カリスマ社長の属人的な力に頼らない仕組みを残したい。

こうして、まずは疲弊した心を立て直し、自立した社員を育てる「人材育成」からスタートし、並行して理念に基づいた評価制度などの「組織づくり」へとプロジェクトが広がっていくことになりました。(のちに、ここへ「DX(業務効率化)」という要素も加わっていきます)

 

「米澤さん、全部任せる。言う通りにするわ」

 

10年越しの約束。それは、魔法のように一瞬で組織が変わるきらびやかなサクセスストーリーではなく、一人ひとりの可能性を「必ず良くなる」と信じて、泥臭く関わり続ける日々の幕開けでした。

 

次回、カオス状態の組織にメスを入れる。

まずは個人面談で溢れ出した、社員たちの「絶望の涙」と、そこから始まった組織浄化の第一歩をお話しします。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!