2026.01.22スマレボストーリー

スマレボストーリー【成長編】#8 4年間で16人が退職!崩壊寸前の電子部品工場を救え!

こんにちは 株式会社スマレボ代表の米澤です。

 

前回まで、機械メーカーでの「VOKR(アファメーション)」と「仕組み化」による劇的な進化のお話をしました。

その成功からしばらく経ったある日、私はある経営者の方から、非常に深刻なご相談を受けることになりました。

 

「米澤さん、人が辞めて辞めて、どうしようもないんです…」

 

お話をいただいたのは、社員数50名ほどの電子部品工場。 なんと直近の4年間で16名もの社員が退職しているという、まさに組織崩壊寸前の異常事態に陥っていました。

 

「辞めるのは、会社のせいじゃありません」

 

私はさっそく現場に入り、工場のナンバー2であるグループ長の田中さん(仮名)にヒアリングを行いました。 「なぜ、これほど多くの人が辞めていくのだと思いますか?」

すると、返ってきたのはこんな言葉でした。

「いやぁ、工場の移転計画が出たから、それが嫌で辞めたんですよ」

「あとは家庭の事情とか、親の介護とか…会社への不満というより、個人の事情ですね」

 

……違和感しかありませんでした。 たしかに個別の事情はあるでしょう。

しかし、これだけの人数が続くには、必ず組織的な原因があるはずです。

リーダーたちが「自分たちのせいではない」と問題から目を背けていることこそが、最大の問題ではないか。私はそう直感しました。

 

惨憺たる診断結果と、5人の退職予備軍

 

現状を可視化するために、従業員アンケートと「エンゲージメント診断」を実施しました。結果は、予想通り惨憺たるものでした。

  • 職場の人間関係は良好ですか?→「どちらとも言えない」「悪い」が圧倒的多数
  • 生き生きと働いている人はいますか?→「全くいない」
  • エンゲージメントスコア(組織への愛着度)→不満層が全体の40%以上

そして、若手社員一人ひとりとの面談で、事態の深刻さは決定的になりました。

 

「今すぐ辞めたいです」「給料がいいから我慢しているだけ」という悲痛な叫びが次々と噴出したのです。

 

実は、私がヒアリングを開始した時点で、すでに5名の若手社員が「もう辞めます」と退職を決意しているような状況でした。中には、親御さんが心配して「もうそんな会社に行くな」と引き止めるケースまであったほどです。

 

私は辞めようとしていた彼らに伝えました。

「課題がたくさんあるから、私が入ることになりました。今から変わるから見ていてほしい。そして、変わるためにみなさんの力も貸しください。」

 

しかし、根拠のない約束はできません。一刻も早い改革が必要でした。

 

救世主、現る

 

「これは、小手先の研修だけではどうにもならない…」私が頭を抱えていたその時、工場に新しい風が吹きました。

 

大手電子メーカーで海外工場の立て直しなどを歴任してきた、プロフェッショナルな新工場長、坂本さん(仮名)が着任したのです。

 

坂本工場長は、着任早々、私にこう言いました。

「米澤さん、この工場の課題は根深いです。生産ラインの見直しや衛生基準の徹底といった『ハード』は私がやります。だから米澤さんは、社員の心のケアや意識改革といった『ソフト』をお願いできませんか?」

 

こうして、最強のタッグによる組織改革がスタートしました。

 

「ハード」と「ソフト」の両輪作戦

 

坂本工場長の手腕は鮮やかでした。 これまでなあなあにされていた生産ロスや不良率を数値化し、効率を上げるためのライン再編を次々と断行。そして、3S(整理・整頓・製造)の徹底。何より昼勤・夜勤の全社員に対して、毎月必ず「会社の方針」と「現状の課題」を自分の言葉で説明する場を設けたのです。

 

一方、私は「ソフト面」を徹底的にサポートしました。

特に注力したのは、変化についていけず「もう辞めたい」と言い出したベテラン社員や、かつて厳しい指導が行き過ぎてパワハラ気質になっていた現場リーダーのケアです。

 

「工場長は、あなたを排除したいんじゃない。あなたの技術が必要だからこそ、変わってほしいと言っているんです」

 

彼らの不安や不満を聞き、工場長の真意を翻訳して伝える。 人と人の間に立ち、ボタンの掛け違いを一つひとつ解いていく。それは地味で泥臭い作業でしたが、組織が変わる時には不可欠な「伴走者」の役割でした。

劇的なV字回復、そして…

 

工場長の強力なリーダーシップと、一人ひとりに寄り添うメンタルサポート。 この両輪が噛み合った時、工場は劇的に変わり始めました。

 

あれほど止まらなかった退職者が、ピタリと止まったのです。 ヒアリング開始時に「辞めたい」と言っていた5名の若手社員も、家庭の事情でやむなく退職した1名を除き、残りの4名は「この工場が変わるなら」と踏みとどまり、今も元気に働いてくれています。

導入当初は平均以下だったエンゲージメントスコアも、1年後には目標値をクリアし、見事なV字回復を遂げました。

 

「3か月で答えが出せなければ、一生無理です」 そう語っていた坂本工場長の言葉通り、短期間で組織は生まれ変わったのです。

 

あの電子部品加工工場で見た「リーダーが変われば、組織はここまで変わる」という事実は、今も私の心に強く刻まれています。

 

私の「成長編」は、8話で終了です。

次回からは、また新しい物語が始まります。

新しい物語をお楽しみに!