2025.08.30スマレボ創業ストーリー
#7 フロントスタッフ総退職 ~ゼロからの船出と、一筋の光~

こんにちは。株式会社スマレボ代表の米澤です。
前回、私は会長からの絶大な信頼に応えるため、赤字ホテルの再建という未知の海へ漕ぎ出すことを決意しました。しかし、その決意をあざ笑うかのように、想像を絶するドタバタ劇が、すぐそこに待ち受けていたのです。
「全員、辞退します」— 覚悟を打ち砕く非情な通告
ホテル経営を引き受けることを決めて、そのための新会社を設立したのが2014年の2/28。そこから4月1日の新体制でのオープンまで、わずか1か月間。
まず行ったのは既存のフロントスタッフ全員との面談でした。
新しい会社に変わることを伝え、このまま残るか、退職するかの意思を確認するためです。
しかし、彼らから返ってきたのは「考えさせてください」という保留の言葉でした。
そして2週間後、告げられたのは「全員、辞退します」という、非情な最終通告でした。
数人は辞めるだろうと予測はしていましたが、まさか一人も残らず全員が去っていくとは…。目の前が真っ暗になりました。
藁にもすがる思いで飛び込んだ「東横イン」
オープンまで、あと半月。スタッフはゼロ。運営ノウハウもない。万策尽きた私は、当時の事務所の裏にあった「東横イン」に、アポイントもなしに飛び込みました。
「女性が輝いて働けるステージを創造する」。
創業時の想いを込めた名刺をお渡しし、「どうか、お話を聞かせてください」と必死にお願いしました。
幸運にも、対応してくださった支配人は、私と同じシングルマザーと仕事を両立させている女性でした。
私がホテル経営の経験が全くない素人だと知ると、最初は「無理だからやめておきなさい」と親身に心配してくださったのです。
「どの段階で断られたのですか?その中で直接会って提案できたのは何件?」
「ほとんど電話の段階で断られてしまい。会えたのは1件か、2件です…」
「もう、引き返せないのです。教えてください!」。
私の覚悟が伝わったのか、彼女は初対面の私に、採用や教育の方法、お客様対応の要点まで、多くのことを教えてくださったのです。この出会いがなければ、ホテルをオープンさせることすらできなかったでしょう。
再びの“素人”集団、ゼロからのチーム作り
東横インの支配人からいただいた知恵を元に、急いでスタッフ集めを開始しました。
声をかけたのは、以前私が通っていたセミナーの仲間や、旅行業界に詳しい友人。
こうして集まってくれたのは、ホテル業界の経験が全くない、文字通りの“素人”集団でした。中にはパソコンの電源の入れ方から教えなければならないメンバーもいるほどの状況です。
そして、辞めていくスタッフから、この新しい素人集団への引き継ぎが始まりました。
ところが、業務を全く教えてもらえず、新しいスタッフはただ横に立って仕事の様子を見るしかありません。
今から考えると、彼らも、突然の経営交代の犠牲者です。怒りをぶつける先は、新しいスタッフしかいなかったのかもしれません。
引継ぎをせず、私たちを困らせ、ホテルの仕事は甘くないことを知らしめることで、プライドを保とうとしていたのでしょう。
しかし、そんな厳しい状況の中にも、一筋の光はありました。辞めていくスタッフのうちの2人が、支配人がいない深夜を見計らい、こっそりと業務を教えてくれたのです。
過酷な引き継ぎ期間でしたが、そのおかげで、寄せ集めだった新しいスタッフとの間には、不思議な団結力が生まれていました。
そして2014年4月1日。私たちはなんとか、新体制でのオープンの日を迎えます。
しかし、そんな私たちを待ち受けていたのは、初日から「会計が8万円も合わない」という、新たなトラブルの発生でした……。
赤字ホテルの再建という航海は、まさに波乱の幕開けとなったのです。
果たして、寄せ集めの素人集団は、この危機を乗り越えることができたのか。
その奮闘は、次回【第8話】でお話しします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。