2025.07.03スマレボ創業ストーリー
#1 出会いは「聴く」ことから始まる ~3時間聴き続けることで掴んだ最初のチャンス~

こんにちは。株式会社スマレボ代表の米澤です。
今日から、私の創業から今に至るまでの道のりを、連載形式でお届けしたいと思います。
決してスマートな成功物語ではありません。むしろ、いつも崖っぷちで、不器用に壁にぶつかってきた七転八倒の毎日でした。
それでも、その時々の出会いや学びに支えられ、なんとかここまで来ることができました。
そんな私のリアルな体験談が、今まさに頑張っている方、これから新しい一歩を踏み出す方にとって、少しでも勇気やヒントになりましたら幸いです。
記念すべき第1回のテーマは、「出会いは「聴く」ことから始まる」。
仕事ゼロだった私が、どうやって有力な経営者とのご縁を掴んだのか。その物語から始めさせていただきます。
想いだけを握りしめた、契約ゼロの日々
2012年4月、私は個人事業主として独立しました。
「女性が輝いて働けるステージを創造する!」
その想いだけを胸に船出しましたが、現実はもちろん甘くありません。
ビジネスモデルのなかった私は、何をどうすれば仕事になるのか分からず、時間だけが過ぎていく。
なかなか契約は取れず、まさに崖っぷちで、焦りと不安だけが募る毎日でした。
転機は、そんな八方塞がりの状況で参加した、とある異業種交流会で訪れたのです。
「売り込まない」が生んだ、千載一遇のチャンス
その交流会では1人2分間のプレゼンタイムがありました。実績のない私に語れるのは、「想い」だけ。
「女性がもっともっと活躍できる、そんなステージを私は創りたいんです!」
するとプレゼン後、ある経営者の方がポツリとおっしゃいました。
「ホテルの女の人の面接、お願いしようかな」
この方こそ、後に私の運命を大きく動かすことになる不動産デベロッパーの会長でした。
この一言を聞き逃さなかった私は、「このチャンスは絶対に逃せない」と直感し、名刺交換に伺いました。
しかし、ここで「ぜひ私に!」と前のめりに売り込むことはしませんでした。ビジネスは、まず相手との信頼関係から始まると考えていたからです。
私が伝えたのは、たった一言。
「ありがとうございます。ぜひ一度、詳しくお話をお聴かせください」
そして翌日、お礼のハガキを出し、届いたであろう頃に電話をかけてアポイントを取り付けました。
人の記憶が新しい72時間以内に行動する。この丁寧なプロセスが、次のステップに繋がると信じていました。
3時間、ただひたすら「聴く」ということ
約束の日、会長室に通されたものの、会長は想像以上に多忙な方でした。
「会長、〇〇不動産です」「〇〇銀行の方がお見えです」と、ひっきりなしに来客が訪れます。
これは、自分のことを話せる状況ではないな…。
そこで私は、一つのことに徹しました。
それは、徹底的に「聴く」ということ。
「会長は、今どのような事業をされているのですか?」
「この事業を始められたきっかけは、何だったのですか?」
自分の仕事の話は一旦横に置き、ただひたすら質問を投げかけ、会長の話に耳を傾け続けたのです。
すると会長は、広島から出てこられた時の話からこれまでのご苦労まで、本当にたくさんのことを話してくださいました。
その間、ひっきりなしの来客で話が途切れ、会長が「どこまで話したっけ?」となれば、「先ほどここまでお話しされました」と即座にお答えする。
そんなやりとりが3時間ほど続いた頃、会長が満足そうにおっしゃいました。
「こんな話をしていたら、明日の朝までかかるぞ」
相手に気持ちよく語っていただくことで、心を開いてもらう。これが、私が営業の仕事を始めたとき、創業する前から大切にしているコミュニケーションの極意です。
存分にお話しいただいた後、会長がおもむろに私に尋ねました。
「ところで、あんたは何しに来たんや?」
鋭い一言が、静かな会長室に響きます。
*****
仕事も実績もなかった崖っぷちの私は、この問いにどう答えたのか。
その続きは、次回の【第2回】でお話しさせていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。