2026.08.05社員が動き出す組織のつくり方
社員が動き出す組織のつくり方 #01「うちの社員は主体性がない」と言う前に
こんにちは!株式会社スマレボ代表の米澤です。
新シリーズ
「社員が動き出す組織のつくり方 〜トップの想いを、現場の力に変えるスマレボ実践編〜」
第1話となる今回は、私が経営者やリーダーの方々から本当によくご相談いただく、この言葉がテーマです。
「うちの社員は主体性がないんです」
「自分で考えて動いてくれない」
「言われたことしかやらない」
「いつも指示待ちで困っている」
「もっと自分ごととして仕事に向き合ってほしい」
これまで、数え切れないほどの現場でこの切実なお悩みをお聞きしてきました。
もちろん、社員一人ひとりが仕事に責任を持ち、自ら考えて動く姿勢はとても大切です。
でも、そんなご相談を受けるたび、私はいつもこう思うのです。
社員が主体的に動かないのは、本当に「社員だけ」の問題なのでしょうか?
「主体性を持て!」という言葉が、逆に主体性を奪う理由
「もっと主体性を持ちなさい」
「言われる前に、自分で考えて動いてよ」
リーダーの立場にいる方なら、一度は口にしたことがある言葉かもしれません。
私も過去に言ってしまった経験があります。
でも残念ながら、主体性は「出せ」と言われて急に湧き出てくるものではありません。
なぜなら、主体性とはその人の「性質」だけで決まるものではないからです。
安心して意見を言える関係性があるか。
失敗しても、次にどうするかを一緒に考えてもらえる空気があるか。
そもそも、考えるための「時間」や「余白」があるか。
自分の意見を受け止めてもらった経験があるか。
信じて任せてもらえる環境があるか。
こうした土壌があってはじめて、人は「自分で考えてみよう」「やってみよう」と思えます。
逆に言えば、どれだけ優秀な人でも、考える余白を奪われ、失敗を責められ、意見を聞いてもらえない環境に置かれ続けると、だんだん自分で考えなくなっていきます。
それは、決して「やる気がない」からではありません。
「ここで考えても無駄だ」と学習してしまっているのです。
良かれと思ってやっていませんか?「先回りリーダー」の罠
社員が自分で考えない組織で、非常によく起きている現象があります。
それは、上司やリーダーが「答えを出しすぎている」ということです。
もちろん、リーダーに悪気は一切ありません。 むしろ、責任感が強く、部下思いのリーダーほど、すぐに答えを出してしまいます。
「それは、こうしたらいいよ」
「それ、前にも言ったよね?」
「こっちでやった方が早いから、私が巻き取っておくね」
現場を止めないため、部下のミスを防ぐため、早く成果を出すため……。
すべては良かれと思っての行動です。
でも、その関わり方が日常になると、社員の心の中にはどんな変化が起きるでしょうか。
「どうせ最後は上司が決めるし」
「自分で考えても、結局やり直される」
「言われた通りにしておくのが一番安全だ」
そして、いつの間にか見事な「指示待ち社員」が完成してしまいます。
リーダーは「自分で考えてほしい」と心から願っているのに、日々の関わりの中で、無意識に社員が考える機会を奪ってしまっている。
この悲しい矛盾が、多くの組織で起きています。
「任せたよ」と「丸投げ」の決定的な違い、説明できますか?
もうひとつ、現場でよく起きるのが「任せているつもり」のすれ違いです。
リーダーは「よし、あいつに任せた」と思っている。
でも、社員からすると「ただ丸投げされただけだ」と感じている。
たとえば、こんな言葉に心当たりはありませんか?
「これ、いい感じにやっといて」
「とりあえず何か案を考えておいて」
「あとは任せるから、よろしく!」
一見、部下を信頼して任せているように見えます。
しかし、目的が伝わっていない。
ゴールが共有されていない。
どの程度のクオリティに仕上げればいいか分からない。
途中でいつ相談していいかも分からない。
そして、手探りで仕上げた結果、最後にこう言われてしまうのです。
「いや、全然そうじゃないんだけど」
「なんでこういう形になったの?」
「もっとちゃんと考えてよ」
これでは、社員は育ちません。
むしろ「次に何か任されるのが怖い」とすら思ってしまいます。
「任せる」とは、ただ放っておくことではありません。
まず、何のためにやるのかという「目的」を伝えること。
どこを目指すのか「ゴール」を共有すること。
途中で迷わないよう、確認する「タイミング」をつくること。
そして、最後の責任はリーダーが持つと伝えること。
ここまで揃って、はじめて「任せる」になります。
「任せたのにできない」と感じる時は、社員のスキル不足を嘆く前に、「私たちの任せ方」に課題がないかを振り返ってみるサインかもしれません。
「誰がやったんだ?」という言葉が、組織から挑戦を消し去る
社員が主体的に動かない組織には、共通する「空気」があります。
それは、「失敗できない空気」です。
何か意見を言ったら否定される。
挑戦して失敗したら、こっぴどく責められる。
うまくいかなかった理由や背景を聞かれる前に、評価を下げられる。
「ほら、だから言っただろう」とマウントを取られる。
そんな空気の中で、人は前向きに動けるでしょうか。答えはNOです。
人は「成果を出すため」ではなく「怒られないため」に働くようになります。
失敗しないことが最大の目的になり、余計なことはしないのが一番安全だと考えるようになります。
結果として、組織から主体性が完全に消え去るのです。
誤解していただきたくないのですが、スマレボは「失敗しても何でも許す、ぬるい組織」をつくりましょうと言っているわけではありません。
目的に向かって本気で考え、行動する組織をつくるためには、当然「厳しさ」も必要です。
ただし、その厳しさは「人を責めるため」のものではなく、「成長に向かうため」のものでなければなりません。
失敗が起きた時に、 「誰が悪いのか」ではなく、
「何が起きたのか」
「次はどうすればいいのか」
「この失敗から何を学ぶか」
を、一緒に考えられる組織。
そういう安心できる空気があって、はじめて社員は一歩を踏み出すことができます。
一番怖いのは「反発」ではなく、「静かなる諦め」
社員が主体的に動かないとき、リーダーが決して見逃してはいけないサインがあります。
それは、社員の心の中にある「どうせ言っても無駄だ」という諦めです。
社員は、最初から何も考えていないわけではありません。
「本当はこうした方がいいのに」
「現場ではこんなことで困っているのに」
「もっとこうすればお客様に喜ばれるのに」
さまざまな想いや気づきを持っています。
でも、過去に意見を言っても軽く流された。
提案しても「前例がないから」と一蹴された。
相談しても「今は忙しいから後にして」とシャットアウトされた。
本音を言ったら「面倒なやつだ」という顔をされた。
こういう小さな経験が積み重なると、人は心を閉ざします。
言わない方が楽だから。黙っていた方が傷つかないからです。
リーダーから見ると「主体性がない社員」に見えるかもしれません。
でも本当は、主体性がないのではなく、「この組織で主体性を出すことを諦めてしまった」だけなのかもしれません。
主体性は、個人の性格ではなく「関係性」の中で育つ
社員が主体的に動く組織をつくるために、まず必要なのは、社員の意識の低さを嘆き、責めることではありません。
まず見直すべきは、私たちリーダーと組織の「関わり方」です。
社員が考える前に、先回りして答えを出していないか。
任せているつもりで、ただの丸投げになっていないか。
失敗した人を責める空気をつくっていないか。
意見を言っても無駄だと思わせていないか。
社員の小さな変化や挑戦のサインを見逃していないか。
ここを見直さずに、どれだけ「主体性を持て!」と叫んでも、現場は絶対に変わりません。
主体性は、社員の内側にだけあるものではありません。
主体性は、リーダーとの「関係性」の中で育つものです。
主体性は、組織の「風土」によって引き出されるものです。
だからこそ、スマレボは社員だけを変えようとはしません。
トップの想い、リーダーの関わり方、現場の本音、業務の仕組み、そして組織の空気。
それらを全体で捉えながら、社員が自然と「自分ごと」として動き出せる状態をつくっていくのです。
今日からできる、組織を変える「5つの問いかけ」
もし今、皆様の組織で、
「社員が自分で考えてくれない」
「もっと主体的に動いてほしい」
「リーダーが育たない」
そう悩んでいるなら、まずは社員を責める前に、ご自身と組織に次の問いを投げかけてみてください。
- 社員が考える前に、自分が答えを出していないか?
- 「任せた」と言いながら、ただの丸投げになっていないか?
- 失敗した時、次の行動ではなく「責任追及」から入っていないか?
- 社員が「意見を言っても無駄だ」と思う空気をつくっていないか?
- 社員の可能性を、本気で信じて関わっているか?
この問いに真摯に向き合うことが、社員が動き出す組織づくりの第一歩です。
社員を変えようとする前に、まず自分たちの関わり方を見直す。そこから、現場は必ず変わり始めます。
スマレボは、社員を一方的に変えるための研修会社ではありません。
トップの想いを起点に、現場の本音を受け止め、社員が自ら考え動き出す組織づくりに本気で伴走しています。
「社員が悪い」で終わらせず、自分たちの関わり方や組織の仕組みから根本的に見直したい。
そう感じた経営者・リーダーの方は、ぜひ一度、スマレボへご相談ください。
次回、第2話は、 「社員の不満を聞いたら、組織が壊れかけました」というテーマで、良かれと思ってやった社員面談でやってはいけない“恐怖の聞き方”についてお伝えします。
お楽しみに!

