2025.12.24スマレボストーリー
スマレボストーリー【成長編】#6 未来を変えた「ヒアリング革命」
こんにちは 株式会社スマレボ代表の米澤です。
前回、コロナ禍という未曾有の危機の中、営業部の新リーダー高橋さんから「こんな時こそ、チーム力をアップさせる研修を!」という、力強い一本の電話をいただいたお話をしました。
日本中の工場が稼働を止め、先行きが見えない不安に包まれている中、私たちはオンラインでつながり、組織の未来について話し合うプロジェクトをスタートさせました。
失敗から学んだ「未来志向のヒアリング」
まずは、在宅勤務になった営業部の社員さん一人ひとりとのオンライン面談です。
彼らは普段、何を思い、何に困っているのか。
ここで私は、かつての印刷会社(第1話・第2話)での、あの苦い失敗を思い出していました。
あの時は、良かれと思って「何が不満ですか?」と聞いてしまい、社員さんたちを「会社の被害者」にしてしまった…。不満の蓋を開けただけで、解決策を持たず、組織を大混乱させてしまったのです。
だから、私は質問を180度変えました。
「今、一番困っていること、解決したいことは何ですか?」
「どうなったら、もっと仕事がしやすくなると思いますか?」
「そのために、あなた自身にできることは、何があると思いますか?」
「不満(過去)」ではなく、「どうしたいか(未来)」に焦点を当てる。
会社のせい、上司のせいにするのではなく、「自分にできること(当事者意識)」を引き出す。
このコーチング的なアプローチに切り替えたのです。
「前から、こうした方がいいと思っていた」
すると、彼らの口から出てきたのは、単なる愚痴ではありませんでした。
「できない理由」を並べるのではなく、
「実は、前からこうした方がいいと思っていたんです」
「この業務、本当は無駄だと思っていて…」
彼らは、決してやる気がなかったわけではありません。
どうすれば良くなるかを「考えるきっかけ」と、それを共有する「場所」が欲しかっただけなのです。
在宅勤務で時間ができた今こそ、これまで後回しにしてきた「緊急ではないが、重要なこと」に取り組む絶好のチャンスでした。
チームの未来を創る「VOKR」
「高橋さん、みんな変えたいと思っています。やりましょう!」
私たちは、Googleなどが採用している目標管理手法「OKR」に、さらに「ビジョン(Vision)」を組み込んだ「VOKR」というフレームワークを導入しました。
単なる数字目標(OKR)だけでは、やらされ仕事になりがちです。
だからこそ、まずは自分たちが「どうなりたいか(Vision)」どんな未来を目指すか、みんなの理想の未来を描くビジョンを言語化し、それを土台に目標を設定するのです。
オンライン上で何度も議論を重ね、彼らはついに、自分たちの言葉で一つのアファメーション(VOKRのVisionとObjectivesにあたる部分)を創り上げました。
【私たちの目的・アファメーション】
「全員がリーダーシップを発揮し、IoTを駆使して楽々目標が達成でき、全てのステークホルダーを幸せにしている。」
そして、この大きな目的を達成するための具体的な状態(Key Results)として、以下の3つを掲げました。
「自分たちから営業しなくても、顧客からメンテナンスや部品交換をお願いされる仕組みができている」(機械設備の維持管理に関する必要性を業界内で認知させ、その施工は当社という構図を確立する)
「当社の求める水準でのメンテナンス施工を、全国で何件でも同時に行える体制が整っている」(協力工場との全国的なネットワークの構築)
「工業機械業界での画期的なシステムができあがっている」(顧客、協力工場、当社をつなぐネットワークの完成)
これらは全て、現場の社員さんたちから出てきた言葉です。
「もっとお客様の工場の稼働を支えたい」「自分たちの技術力を誇れるものにしたい」という、メーカーとしての熱い思いが込められた、未来への誓いです。
このVOKR(アファメーション)ができた瞬間、それまで「個」でバラバラに動いていたチームのベクトルが、バチッと一つに合わさる音が聞こえた気がしました。
次回、このVOKRを実現するために現場が立ち上げた、驚くべき業務改善プロジェクト「〇〇大作戦」の全貌をお話しします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
