2025.11.01スマレボストーリー
スマレボストーリー【成長編】 #1 良かれと思って聞いたのに…社員の不満が大爆発(製造業)
こんにちは!株式会社スマレボ代表の米澤です。
さて、いよいよ今日から『成長編』の本編がスタートします!
ホテル経営の失敗で、「気合や根性だけじゃダメなんだ、会社を守るには『仕組み』が必要なんだ!」と痛感した私。そんな学びを胸に、新たなコンサルティングの現場へと向かいました。
ただ、今思うとこの時の私は、その「仕組み」という言葉の本当の重みを、まだ理解できていなかったのです。
V字回復を遂げた社長の、次なる悩み
それは、ホテルでの奮闘がまだ続いていた2015年のこと。
お世話になっている財務コンサルの先生から、「米澤さん、ちょっと相談に乗ってあげてほしい社長がいるんだ」とご紹介いただいたのが、ある製造業の社長でした。
「ウチは『頼まれた仕事は断らない』が合言葉」と笑う、社員50名ほどの元気な会社です。かつては倒産の危機に瀕しながらも、社長の頑張りで回復を成し遂げた、まさに叩き上げの経営者でした。
そんな社長からのご相談は、とても深刻なものでした。
「米澤さん、どうにも対応しにくくて困っている、ベテランの女性社員がいるんです…」
なんでも、創業当時から会社を支えてくれた50代の部長が、最近どうも周りとの折り合いが悪く、扱いにくくて困っている、と。
「あ〜…社長、それ、本当によくあるお悩みですよね…」
会社が成長していく過程で、古株の社員さんと新しい社員さんとの間に溝ができてしまったり、社長のやり方に昔からいる人がついていけなくなったり。多くの経営者が頭を抱える問題です。
「わかりました。まずは、現場の皆さんの声をじっくり聞かせてください」
こうして私は、その会社の組織改革をお手伝いすることになったのです。
…しかし、このときの私はまだ知りませんでした。私の「ある失敗」がきっかけで、会社がとんでもない大混乱に陥ってしまうことになるなんて。
社員の本音を聞いた結果、社内は大炎上!
「会社を良くするためには、まず社員さんたちの本音を知ることが一番!」
そう考えた私は、さっそく社員さん一人ひとりとの面談を始めました。
そして、面談の席で、こう切り出したのです。
「会社に対して、今、思うことを何でも正直に教えてください。不満に思っていること、モヤモヤしていること、何でも聞きますからね」
良かれと思ってのことでした。まずは溜まっているものを全部吐き出してもらって、スッキリした上で、前向きな話に進んでいこう、と。
ところが、これが大間違いだったのです。
面談を進めるうちに、出るわ出るわ、社長への不満、会社への不満のオンパレード!
「社長は、ある社員のことばっかり可愛がって、えこひいきしてる!」
「あの部長、みんなから嫌われてるのに、なんで野放しなんですか!」
「頑張っても評価されないし、給料もどんぶり勘定でおかしい!」
まるで、溜まっていたダムが一気に決壊したかのようでした。
そして、問題は社長が「対応に困る」と悩んでいた、その女性部長だけではなかったのです。会社のあちこちで、社員さんたちの不平不満がマグマのように渦巻いていました。
社長が見ていた景色、社員が見ていた景色
ヒアリング結果を社長に報告すると、社長は言葉を失っていました。
「え…、みんな、そんなことを思ってたのか…?俺は、社員のために必死で頑張ってきたつもりだったのに…」
社長が見ていた景色と、社員さんたちが見ていた景色は、全く違っていたのです。
社長は「会社を成長させて、みんなの生活を豊かにしたい」と一人で必死に走っていた。でも、社員さんたちにはその思いが届かず、「社長は俺たちのことなんて見てくれていない」と感じていた。
そして、この時、私自身も大きな過ちに気づかされました。
ただ「不満は何ですか?」と聞くだけのヒアリングは、社員さんたちを「自分は会社の被害者だ」という気持ちにさせてしまい、かえって不満を増幅させてしまったのです。
しかも、給与や評価の「仕組み」が整っていない中で不満だけを明確にしてしまったものだから、すぐには解決できない。結果的に、「話を聞いてくれたけど、何も変わらないじゃないか!」という、さらなる不満を生む悪循環に…。
良かれと思い、みなさんの課題を聞き始めたヒアリングが、まさかの裏目に。
噴出した不満のマグマを前に、呆然と立ち尽くす社長と私。
バラバラになってしまったこの組織を、どう立て直していくのか?
そして、社長が「扱いにくい」と決めつけていた、あのベテラン女性部長の、知られざる真実とは——。
次回、物語は核心に迫ります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
